ゴールの手前、ほんの(わず)かな差ではあったけれど高野くんは最後の1人を抜き、

見事1位でゴールした。

ああ、やっぱり凄いな…。


「やったね!雪菜!」

多絵とハイタッチする。

私は足手まといだったかもしれないけれど、走れて良かった。そんな風に思えたのは結果に結びつけてくれたみんなや、高野くんのおかげだ。

高野くんは駆けつけたA組のみんなに囲まれ、賞賛(しょうさん)の嵐だった。


2チームが1位、4チームが3位の結果となった2年A組は、総合順位では表彰台まで辿り着けなかったけれど、みんなやりきった表情をしている。

途中、転倒などのアクシデントがあったが、誰も責めることはなく良い雰囲気のままやり遂げることができた。

「以上をもちまして令和6年度のスポーツ大会を終了します」

そう私の最後の仕事を終えた時、校庭から拍手が巻き起こった。