高野くんは昨日、私にそう言ってくれたんだ。

私のことをちゃんと見ていてくれて、好きだと言ってくれた彼からの言葉。

自信、自信ーーそんなの持てた試しがないよ。


でもーー自信のない私が、自分のことを好きなれない私が、高野くんのことを好きと言っていいのだろうか。

大した努力もせず、高野くんの隣りに立ってもいいのだろうか。


おばあちゃんにも頑張るって誓ったのに、結局は変わらずにいる。

私の日常は良い方向に変化しているけれど、それは私自身の努力ではなくて、高野くんが、多絵が、きっかけを作ってくれたからだ。私はーーなにもしていない。

なにも、できてないじゃん。
こんな私を変えたいって、ずっとずっと思ってきた。

それに高野くんに吊り合う人間にならないと、彼の恋人にはなれやしないだろう。

クラスの誰も名乗り出る気配はなかった。



それならーー


「あの、私!やります!」


そう立ち上がって手を挙げる。

クラス中の視線が私に集まり、恥ずかしさで顔から火が出そうだ。

助けを求めた礼司は口を大きく開けて、こちらを見ていた。