「そもそも、なんでそんなこと知ってんの」
「あれ、委員会の一番最初の集まりの時だったかな。私の隣りに菊池沙希ちゃんが座っててね」
「へー、あの子図書委員なんだ。
 利湖仲良いもんね」
「うん。で、その時ちょうど私の斜め前らへんの席に篠原先輩が座っててね」
「うんうん」
「耳元でこそこそっと
『利湖ちゃん知ってる?
あの人、二年生の中で一番数学の成績良いんだって。』って教えてくれたの。
 沙希ちゃんによれば、
先輩は二年の間ではかなり有名人で、
人に教えるのも上手いからクラスメイトたちから頼りにされてるとか」
「えっ、先輩、めっちゃすごい人じゃん。」
「頭良いんだろうね。
だから、しおりも先輩に教えてもらえばいいのに」
「ムリムリムリ‼︎」
「あはは、全力で拒否するじゃん」
「あんなかっこいい人に勉強教えてもらったら、
私、どうにかなっちゃいそうだもん……」

 でも、きっと分かりやすいんだろうなぁ。

「いやぁ〜、
今日は先輩に関すること二つも知れたから
めっちゃ前進?した気がするわ。
利湖、ほんとにありがと。今日、一緒に帰れる?」
「ごめん。今日部活。」
「了解、部活頑張って。また明日ね。バイバーイ」
「うん、バイバーイ」

 利湖は茶道部に入っている。
 和菓子が食べれるから入ったらしい、
利湖っぽい理由だ。
 確かに私も和菓子が食べれるのはいいなって
思ったけど、ずっと正座するのはムリ。
 茶道部入ってから足腰が鍛えられたとか。
それもはや、運動部じゃん。
 私はずっと帰宅部。
 私は本好きだから文芸部とか入りたいけど、
この高校には残念ながらない。
 そろそろ何かしらの部活に入った方が
良いのかなぁと思ってはいるんだけどね……