「あっ、それかさぁ!」

利湖が声を弾ませた。

「ん?何か良いアイデアでもあるの?」
「今、急に思いついたんだけど、
 私が放課後の貸出の割り当て表をチェックすれば良いのでは?」
「あ〜その手があったか。
私、よく分かって無いんだけど、
その放課後の仕事は図書委員全員がやるやつなの?」
「いや、全員じゃないよ。委員長とかそういう役職?に就いてなくてなおかつ放課後時間がある人みたいな」
「じゃあ、やってる人少ないの?」
「私はやってるよ?眠気と戦いながらね」
「ふうん」
「とにかく、今月の金曜日担当が誰か分かれば良いって事」
「でも、その表は見せてもらえるの?」
「多分、先生に言えば見せてもらえると思う」
「でも急だと怪しまれるんじゃない?」
「大丈夫。
自分が何曜日担当だったか忘れちゃいましたって言うから」
「それ、先生の利湖への信頼度が下がる……」
「行ける行ける。私もしおりの力になりたいからね。そのくらいの嘘どうって事ないよ」
「利湖、かっこいい〜」
「やめてよ、照れる」
「でも、ほんとありがと」
「いーのいーの!
先輩の名前分かったらすぐ教えるから。」
「うん!よろしく」
「そろそろ切っていい?」
「うん、言いたいことは全部言えたし」
「じゃあね、バイバイ〜」
「バイバイ〜」

 利湖との通話が切れた。
 これで一歩前進だね。
 いやぁ〜、利湖が図書委員で本当に良かった。
 先輩、どんな名前してるのかな。
 きっとかっこいい名前なんだろうな……。

 というか、
また先輩に来週会えるかな……?

よし、来週の金曜日、また図書室に行こう。

楽しみだなぁ〜。