今日は夏休み初日。
…であると同時に先輩と過ごすことのできる最後の日。
私は集合場所である二年四組の前に来ていた。
手に提げた小さな紙袋には昨日洗濯したハンカチと
薄ピンクの封筒に入れた手紙が入っている。
でも、それは愛の告白じゃなくて
あくまで感謝だけを伝える手紙。
ラブレターを書くべきか、
直前まで迷ったけど、私にはそんな勇気なかった。
私なんかから告白されても、
先輩はきっと迷惑なだけだ。
おそらく、私はこのことを一生後悔する。
そう分かっていても、
私はあと一歩を踏み出せなかった。
……こんな自分が嫌になる。
「おはよう」
私の脳内がネガティブな気持ちに支配され始めた時、頭の上からそんな明るい声が降ってきた。
大好きな先輩の声だった。