私が図書室に行くのは基本的に
金曜日だけなんだけど、二回ほど図書室へ行くと、
あっという間に終業式の日を迎えた。
 つまり明日から夏休みが始まる。

 放課後、私は一学期のお礼を言うため、
二年四組の教室の前に来ていた。

 しかし、なかなかホームルームが終わらない……。
 私みたいに教室前の廊下で誰かを待っている人は
多いのだけれど、見た感じ、
青リボンか青ネクタイの生徒しかいなくて、
何とも居心地が悪い。
 やっぱり、二年生にもなると連絡事項とかも
多いのだろう、多分。
 それから五分ほどが経過し、
生徒たちが一斉に立ち上がり帰りの挨拶をした。
 ホームルームが終わったようだ。
 だけど、一学期最終日でしばらく会えなくなる友達との会話を楽しみたいのか、ほとんどの生徒が教室に残っていた。
 先輩も友達と喋ってるのかな。
 それなら、出てくるのを待ってないで
私が呼びに行った方が良いかな……。

「あ。」

 教室に一歩近づいたタイミングでちょうど、先輩が出てきた。

「あ、やっほー。どうしたの?」

 先輩ってやっほーとか言うんだ。

「あっ、今のめっちゃ恥ずい……」
「何でですか?」
「まさか、柚木さんがいると思わなくてさ、
焦ってやっほーとか言っちゃったから……。
俺普段そんなこと絶対言わないのに……」

 やっぱり、そうだったか。
 らしくないなとは思った。
 顔を真っ赤にして、口元を抑える先輩。
可愛いすぎる。 
 私よりも年上なのに、
たまにこうやって隙を見せてくるところ……。

 先輩のそういうところが大好き。