ーテスト当日
 教室に入ると、
いつもなら遅刻ギリギリで来るような
クラスメイトたちの姿が既にあった。
 友達同士で問題を出し合ったり
自席で一人教科書に目を通したりしていた。

 私は自席にリュックを置くと、
利湖の机に近付いた。

「おはよ」
「おはよう、しおり。今日からだねぇー」

 利湖は机に突っ伏して、
見るからに元気が無さそうだった。

「自信はある?」
「全然無いよ、もう諦めかけてるから。しおりは?」
「私は先輩のおかげで数学はいける気がしてるの。
英語と家庭科もそれなりに得意だし」
「そっかぁ」
「利湖も勉強会参加すれば良かったのに」
「いや、あれは、
しおりと先輩だけの方が良いと思ったの!
私は邪魔になるから」
「別にそんなことないよ!」
「実際、色々あったんでしょー?」

 からかい口調の利湖。
 勉強会で起きた様々なことが次々と脳裏に蘇った。

「しおり、顔真っ赤」

ーガラガラッ。

「赤くないし‼︎
「ほら、もう先生来たし、
一回、私、席に戻るから」
「はいはい」

先生が来てくれて良かった〜。
利湖ったら変な事言わないでよ。

私と先輩は別にそういう関係じゃないのに。