戸惑いで下がる視線。

 お互いの視線を絡めるように強引に私のあごを上に向かせたのは、いつの間にか真剣なオス顔に表情を変えていた唯都様で


 「琉乃ちゃんが欲しい」


 まっすぐな言葉を


 「もう待てないから」


 強い欲望を

 ちゃんとわかってと言わんばかりの強欲な目で、私に訴えてくる。



 ――唯都様に愛されたい。



 私は静かに瞳を閉じた。

 視覚に頼れない分、五感が研ぎ澄まされていくのがわかる。



 私の頬に添えられた彼の手が、くすぐったい。

 ひたいを撫でるのは、彼のサラサラな髪。

 国宝級の顔面がすぐ近くに迫っているとわかるのは、荒くなった彼の吐息が私の口もとにかかるから。