童話からそのまま出てきたような、全身キラキラな王子様。

 大企業の御曹司で、エリートアルファ様で、大人気アイドル。

 この世に産み落とされた瞬間から、女性が放っておかないはずだけど……


 「信じられないみたいな顔してるけど、俺は人一倍ロマンチストなの。俺の甘さを刻みつける相手は、生涯、運命の番だけがいい」


 「だっだから……私は……」


 「琉乃ちゃんは俺に死ぬまでめちゃくちゃに可愛がられる、ハッピーなお姫様。でしょ?」



 視線の先、さわやかな笑顔が咲いている。

 両肩に手を置かれて、自分の覚悟のなさを思い知らされた。



 本当にいいのかな? 

 私はベータなのに……

 唯都様の運命の番のわけがないのに……




 いつ沈み込むかわからない彼の唇。

 時限爆弾を埋め込まれたようにうるさい心音を鎮めたくて、心臓に手を置いた。

 ドキドキが限界寸前。

 今にも倒れてしまいそう。