「今から俺と何をするか、わかっているんでしょ?」



 冗談っぽさを含んだ挑発的な物言いに、私はうつむいたままコクリ。



 「じゃあ、顔を上げてごらん」



 優しい魔王様に命令されている気分。

 快楽に近いドキドキで心臓が苦しくてたまらない。



 「……無理……っぽい……です」


 「あれ? 今日は俺がご主人様だよね? 俺は琉乃ちゃんからのキスを期待しているんだけどな」


 「え? わわわっ、私から?」


 「やっと顔を上げてくれた」


 「ひゃっ!」


 「またうつむかないの。可愛い瞳で俺だけを見つめてくれなきゃ」


 「だって……初めてなんです……こういうの……」


 「俺もだよ」



 予想外の返答に「えっ?」と私の視線が上がる。