頷いたのは私自身だけど、直後に駆られた不安。

 相手は推し。

 私はオメガじゃない。

 本当にいいの?



 でも、湧き上がる罪悪感混じりの欲望に抗えない自分もいる。

 この甘さに流されたい。

 ダメってわかっているのに、唯都様を拒否できない。





 うつむく私の視界には、艶めく男物の革靴が。

 極度の緊張で上げられない顔。

 マグマのようにボコボコ熱せられた羞恥心が、私の平常心を溶かしてしまう。



 震える手でメイド服の白いエプロンをぎゅっと掴んだ直後、噴出し笑いが頭上から降ってきた。



 「フフっ、緊張してるの? 体中がこわばってて可愛い」



 ドロっドロに甘い声。

 アイドルとしてステージに立っている時でさえそんなハニーボイスはこぼさないのにと、余計に私の体温が上がる。