「ほら、やっぱりそうだ」


 嬉しそうな声のあと唯都様は私から離れてくれたけれど、私のハートは未だにくすぐったい。



 「琉乃ちゃんはオメガだ、間違いない。俺の運命の(つがい)だよ」


 「だからそんなはずは……」


 「俺が今まで、どのオメガのフェロモンも嗅ぎとれたことがなかった話は、前にしたよね?」


 「はい、ライブの時に」


 「君だけが俺の特別だって、今ふたたび確信した。琉乃ちゃんから放たれているフェロモンをかぐと、俺のアルファの血が沸騰しそうになる。理性が飛びそうになって、自分が自分でいられなくなるみたいにね」



 凛とした瞳に見つめられドキリ。

 垂れていた私の手の平が、彼に捕まってしまった。


 顔の位置まで引き上げられた私の手首。

 脈にキスをするように唇を押し当てた唯都さまの顔に、笑みはない。

 真剣な思いをぶつけるように、艶のある視線を私に突き刺してくる。



 「体の方が正直だね。こんなにも脈が飛び跳ねてる」