「唯都様の瞳に私なんかが映り続けたら唯都様がけがれますので、私はこれで……」



 体をかがめ、唯都様のぬくもりから脱出成功。

 心停止していない。かろうじて生きてる。

 安心からの、ドアノブがちゃり。



 ……うっ!

 そうだった、このドア開かないんだった!



 「運命の番から逃げようとする悪い子は、このメイドちゃんかな?」


 だから、異常なほどのニコニコ笑顔は怖いんですって。


 「終身刑決定ね。琉乃ちゃんは死ぬまで俺のそばにいて、極上に甘いドロドロな生活を送ってもらうよ」



 終身刑? 極上に甘い? ドロドロ?

 危険ワードたちのせいで、心停止注意報が発令されちゃったじゃないですか。



 熱にやられたように、脳がほわわんとしてる場合じゃない。

 太ももを強く叩いて気をしっかり持とう。

 私は逃げるように、唯都様のから距離をとる。



 「私は唯都様の運命のつがいではありません。オメガじゃないんです」


 「そんなわかりやすい嘘をつかないでもらえるかな、泣きたくなる」


 「アルファのフェロモンに惑わされることがない、普通人間のベータです。ライブの時に理亜ちゃんも言っていたでしょ。2回も検査をしているので間違いないかと」


 「じゃあどうして、俺のアルファフェロモンにあてられてるの?」