「暴走族の総長と姫って、義理人情に厚いって本当なんだね。友達思いで、悪を許せなくて、案外ロマンチスト」
「それって……」
「今度俺たちエンラダのコンサートがあるんだ。お客さんからお金を一切取らない主義でアイドルしているから、申し込んでくれた人の中から抽選で無料ご招待なんだけど。二人にはチケットを用意してあげよう。琉乃ちゃんには俺が一番カッコよく見える特等席をプレゼントするよ」
家事係の私に、あそびの外出許可がおりるはずがない。
そう思って諦めたコンサートだ。
無料だから海外からも応募多数だったらしい。
当選確率は宝くじで100万円当たるレベル。
理亜ちゃんは「ハズレた、ありえない、地球滅べ!」と叫びながら、屋敷の壁をなぐっていたっけ。
スポットライトを浴びる唯都様を生で見られるなんて贅沢の極み。
行きたいけれど、お母さんを説得できる自信がないよ……って。
夢のようなプレゼントに心が躍りすぎて、話が脱線してることに気づいていなかったけど……