「なーんてね」


 さっきまでのどす黒い闇オーラはどこへやら。

 唯都様は声を躍らせ、太陽用みたいにニカッ。


 「いまの真に受けちゃった?」


 真っ白な歯をきらめかせ、さわやかに笑っている。

 乗りうつっていた悪魔は、浄化されて退散したみたい。



 「安心してね。俺、そんなひどいことはしないから」



 恐怖を取り除くかのように、私の腕をポンポンしてくれたけど。

 再びスーッと消えた笑顔。

 唯都先輩は悲しげに、私から視線を外した。



 「人間はメンタルが弱い生き物でしょ? ネットたたきの公開処刑なんかされたら、俺でも耐えられないからね。天国に逃げたくなるにちがいない。あいつも苦しかったんだろうな……」


 泣きそうな顔で、首の後ろをさすりだして。