「あー、そういうこと」



 背中に刺さった、地を這うような低音ボイス。

 推しがお怒り中なのでは?とハッとして、唯都様に顔を向ける。



 ひゃい!
 
 唯都様の顔面に、悪魔が乗りうつってない?

 ……うっ、ちょっと怖い。



 「へー、いたんだ。俺と琉乃ちゃんの愛を踏みつぶしていた悪い子が」



 ということは……



 「唯都様と理亜ちゃんは、恋人関係ではないのですか?」


 「嘘をついた君のお姉さんのことが許せないな。心が広い俺にも殺意が芽生えたよ。どうせなら苦しんでもらいたいよね? SNSに個人情報をさらして、ネット民に処刑してもらおうか」



 ひぃぃぃ、完全に魔王様モードに入ってるよ。

 悪を抹殺するかのごとく、顔の横に掲げた拳をギューギュー握りしめていて。

 手の平に爪が刺さって、出血しちゃうんじゃ。

 人を殺めることに罪悪感を抱かない猟奇殺人者の目をしているし。

 ……っ、心底怖すぎる!