待って待って。
私の思考回路よ、ちゃんと回転して。
唯都様がこぼした文言、間違いだらけじゃないですか?
スルーなんかしたら、『その通り』と私が認めたことになっちゃう。
「チョーカーはお返ししたはずです。唯都様の連絡先だって知らないし」
「君のお姉さんから受け取ったでしょ?」
理亜ちゃんから?
そうだ、唯都様は……
「理亜ちゃんと付き合っているんですよね?」
「え?」
「私が唯都様と二人きりで会っていたなんてバレたら、理亜ちゃんが悲しんじゃう」
だからドロンしなきゃ。
大好きな推しの前から、今すぐに。
振り返って、洋風チックな玄関ドアのノブを回してみた。
外に飛び出したいのに、相変わらずドアが開かないよ。