総長に嫉妬されないか心配になりながらも、バイクのステップに足をかけ、冴ちゃんの背中に抱き着いた私。

 大好きな人の体温ってこんなに安心するんだ。

 冴ちゃんの背中に押し当てたほっぺが、幸福感でとろけそうになる。




 宣言どうり、総長と冴ちゃんのバイクは海沿いの道を走ってくれた。


 空からのびる黄金の光の筋が何本も煌めいて、海を輝かせている。



 天使のはしご。

 英語だと『エンジェルラダー』



 唯都様たちはなぜ、グループにこの名をつけたんだろう?



 推し本人に直接教えてもらいたかったな。

 なんて、ベータの私には贅沢すぎる欲望だよね。



 いまだ消えない恋心。

 今この瞬間、煌めく海に捨てていこう。


 
 私は冴ちゃんの背中をギューッと抱きしめた。


 知らないアルファに嫁ぐ覚悟を決めながら。