総長が冴ちゃんに抱く愛の深さを知っているがゆえ、異常なほどオドオドしちゃったけど。

 心が狭い人ではありませんでした、彼は。



 「俺は知ってた。神楽が家族にひどい扱いを受けてること」



 総長が苦しそうな顔で唇をかみしめて



 「ごめんね。もっと早くに助けてあげたかったんだけど。情報収集に時間がかかって、神楽の人間を黙らせるタイミングもつかめなくて」



 冴ちゃんなんて涙ぐみながら、私に頭を下げてきて。

 どんな反応をしていいかわらかない私。

 え?え?と無駄にポニーテールを揺らしてしまう。



 「二人とも、なんで私の家のことを知ってたの?」



 家族に虐げられているなんて、誰にも言っていないのに。



 「琉乃はどこか普通じゃないって、高校入学当時からずっと気になってたんだ」


 「冴ちゃんの瞳には私が変な人に映ってた?」


 「わっ悪い意味じゃないよ! いい意味。めちゃくちゃ。琉乃は異常なほどの気遣い屋だし、友達を傷けないように配慮しすぎだなって」


 「……」