「私が琉乃に手を上げているって言いたいの? 勘違いもいい加減にしてちょうだい。私が大好きな娘をいじめるはずがないじゃない!」


 「警察を呼ぶって言ってたよな?」


 「我が家の前で吠える高校生がいたら、誰だって怖くて警察に助けを求めるものでしょ?」


 「呼ぼうぜ、今すぐ警察。調べてもらえばいい。神楽家の闇を隅から隅まで」


 「ちょっ、ちょっと待ちなさい。なんで我が家のことまで警察に……」


 「クククっ楽しみだな。どれだけグロい膿が出るか。冴、警察に電話」


 「鷹哉(たかや)、黒木さんに直電してもいい? あの人警察での地位が高くなりすぎて、昔みたいに私の頭をどつきに来てくれなくなっちゃったでしょ。久々に会いたくて」


 「黒木さんなら適任だろうな。家庭内暴力を絶対に見過ごさない、石頭の頑固おやじだから」


 「地位が高い警察の人ですって? ちょっとあなたたち、警察に電話なんかしないでちょうだい!」


 「やましいことがないなら、警察と話すくらい問題ないでしょ? 琉乃はちゃんと、家族にいじめられてることを話すんだよ。お母さんが睨んできても大丈夫。私たちがついてるから」