「神楽家の女性陣はみんな家事が得意なの。使用人なんて雇う必要がないのよ。私たちが掃除をした方が部屋もピカピカになる。料理だっておいしく作れるわ。好きでやっているんだから、勝手な妄想で神楽家の悪口を言わないでもらえるかしら」
お母さんは論破に成功したと思っているんだろう。
腰に手を当て仁王立ちで、勝ち誇ったような笑顔を咲かせているけれど……
相手が高校生だからって、この二人を軽視しすぎている。
暴走族の総長と姫を、論破できるはずがない。
暴れたい年頃の野獣たちを束ね、トップの座に君臨する二人。
命をかけ幾度となく荒波を乗り越えてきたこの二人の武勇伝を聞いたことがある人は、この二人に戦を仕掛けるなんてムチャはしないというのに。
総長と冴ちゃんは何かに気づいたらしい。
クククと笑いをこぼした総長が、お母さんの手の平を指さした。
「神楽の女性陣は家事が好き? 自分の手を隠してから言った方がいいな」
「手? 私の?」