「じゃあなぜ神楽は、メイド服なんて着ているんだ?」


 「可愛い娘がどうしても着たいってせがんだの。だから琉乃に買ってあげたの。それなのになんで私が、責められなければいけないのよ!」


 「俺は見た。神楽が窓ふきをさせられてたところ」


 「やめてよ、させられていたなんて。掃除は琉乃の趣味なの。本人がやりたくてたまらなくて勝手にやっているの。ねっ、琉乃」



 はいと言え! 

 頷け!


 怖いくらい行きすぎた笑顔を浮かべるお母さんの目が、私を無言で脅迫してくる。



 返事に困って固まることしかできない私。

 お母さんに同意したら、私を守ろうとしてくれている冴ちゃんと総長の優しさを無下にすることになちゃう。



 かといって「寝るまで働かされてます」なんて正直に話したら、二人の拳がお母さんの顔面に食い込んじゃうかもしれないし……

 暴力沙汰は避けたいし……