この二人の恋人関係は、普通よりもかなり荒っぽい。


 言いたいことは言う。

 声を荒らげるような喧嘩もする。

 でも相手のそのままを愛していて。


 『自分の命を懸けて、好きな人を守る』


 総長も冴ちゃんもそう思っているところが素敵だなって、私は憧れてしまうんだ。



 私は金持ちアルファに売られる身。

 一生恋愛なんてできない。

 その分二人には、愛し愛されながら幸せに生きて欲しいな。



 二人の関係が羨ましすぎて、うっとり顔で二人を見つめてしまっていた私。

 甘い空気を一瞬でピリつかせたのは、私の後ろに立っているお母さんだった。



 「私は何を見せられているのかしら? 背中がかゆくなってきちゃったわ。どうぞあなたたち二人はお幸せに。琉乃、家の中に入るわよ!」



 目を吊り上げた時のお母さんの握力は、化け物なみだ。

 私の手首にアザができそうな強さで、私をひぱっていく。