「……冴のメイド姿」


 「は?」


 「いま神楽が着てる服着て、俺に微笑んでみろって言ってんの」


 「だから私には似合わ……」


 「断言する。どんな服を着ても、冴が世界一可愛い。俺の目にはそう映るんだから、信じろバーカ」



 あぁ……

 総長も冴ちゃんも黙っちゃった。

 二人とも耳まで真っ赤に染めた状態で、うつむいてる。

 

 私の半径5メートル以内の空気が、綿菓子みたいにベタ甘に変わっちゃったな。

 いつも自信満々のドS総長様が、テレながら愛を囁いたんだ。

 そりゃ冴ちゃんも、照れ吠えワンコから、愛されベタな可愛い彼女に変身しちゃうわけだ。


 「ちょっちょっと鷹哉、そういうのは二人だけの時にして。顔が緩むでしょうが……って、あぁもうほんと無理。不愛想な顔で甘い言葉とか……私、鷹哉以外の男に惚れない自信あるからね、一生……」



 サバサバ系の冴ちゃんが照れ隠しと言わんばかりに、ペチペチと総長のお腹を叩いている姿。

 同性の私でも胸がキュンとならずにはいられない。