近い将来、理亜ちゃんと唯都様は結婚しちゃうのかな……



 重い吐息を窓に吹きかけ、二階のベランダに面した窓を拭く。


 
 屋敷の外から豪快な異音がするような、ブオンブオンって。

 まっ、私には関係ないか。

 心にはりついたベタベタな闇感情を拭い去りたくて、私は強めにガラスを拭き拭き。



 お屋敷の玄関前には広い庭がある。

 私が視点を合わせたのは、庭の向こうにある細い道路。
 
 お金持ちの屋敷が集まる住宅街だから、こんな荒っぽい音はあまり耳に入ってこないから珍しい。



 いけない、窓ふきの手が止まってた。

 サボっているのが見つかっちゃったら、即アウト。

 お母さんのシミ一つない綺麗な手のひらが、私の頬に食い込むに違いない。

 お屋敷掃除に集中、集中!



 ……って、あれ?