だけど、のろけが終わると人食い鬼のような恐ろしい形相に変わり


 『わかってるわよね? 私がアルファだって唯都さまにバラしたら、この家から追い出してやるんだから!』


 私を脅して、ズカズカと大股で去っていくんだ。




 唯都様にバラせるわけがないよ。

 連絡先なんて知らないもの。

 それに私はいま、このお屋敷から出られない。



 家事をサボってエンラダライブを見ていたことが家族の耳に入り、お母さんは大激怒。


 『琉乃は私が良いと言うまで外出禁止!』


 あの時は窓が揺れるほどの怒鳴り声が、お屋敷に響き渡っていたな。



 もちろん反発はしたよ。

 頬をぶたれる覚悟で。



 『お母さん考え直してください。高校に通えなくなっちゃう』



 でも……



 『高校なんて行かなくていい!』


 『えっ?』


 『琉乃に学歴は必要ない。中卒で十分。家事の腕だけ磨いてなさい!』



 外出禁止命令が覆ることはありませんでした。