苦しいよ。

 唯都様と理亜ちゃんを瞳に映すことが。

 嫉妬が湧き上がってきて、ハートが引きちぎられそなほど痛んじゃう。



 でも……



 唯都様の恋は実って欲しいんだ。

 推しには幸せな恋愛をして欲しい。



 だから私は、二人の邪魔なんかしちゃダメ。

 唯都様の前から立ち去ることが、いま私がしなきゃいけないことに違いないから!




 唯都様が巻いてくれたチョーカーを丁寧にはずす。



 「これ、返します」



 チョーカーを差し出し、悲しく揺れる瞳で精一杯、唯都様に微笑んでみた。



 大好きな推しに、泣き顔なんか見せたくない。

 見せたくないのに……

 

 もうダメだ。

 大粒の涙、こぼれそう……



 「琉乃ちゃん……えっ? 泣いてる? ここっ、このチョーカーは?」



 戸惑ったように声を震わせる唯都様の手のひらに、私は無理やりチョーカーを握らせると



 「姉の理亜ちゃんのこと……よろしくお願いします……」



 一切振り向かず、猛ダッシュでライブ会場から逃げ出した。