慌てて私は頭を後ろにずらし


 「わっ、わわわっ、私の顔なんて汚いですから」


 沈み込んでいた唯都様の指を、なんとか頬から逃がしたんだ。




 唯都様の一挙手一投足は、ほんと私の心臓に悪い。

 推しを摂取しすぎると体が過剰反応しちゃうのは、ファンとしてあたりまえだよね。

 体が火照ってきちゃった。

 息を吸うのも苦しい。

 勝手に呼吸が荒くなっちゃう。



 「これでネットが取れたよ」



 唯都様、いつの間に……



 「あっ、ありがとうございます」



 立ち上がった唯都様の顔も見ず、私は座ったまま頭をペコリ。



 「はい」


 「えっ?」


 「俺の手をどうぞ」



 うわぁぁぁぁ……

 気遣い王子だ。エレガント紳士だ。