3人は私にも聞こえるコソコソ声を放ちながら、顔をしかめたりニヤついたり。

 表情をクルクル変え、なにやら私の品評会をしている模様。



 そりゃ怯えちゃうよ。

 この状況がよくわからないし。

 私は縄に捕まったままだし。



 恐怖混じりのバクバクで、ポニーテールをフルフル震わせていると



 「3人とも、俺の姫に気やすく話かけないでくれる」



 我流(がりゅう)くんと独璃(ひとり)くんの肩を押し、間から顔を出したのは……



 私の推し、唯都様ではありませんか!



 ヘッドマイクの電源がオフになっているから、アイドル様たちの声がファンたちに聞こえていないのは安心要素なんだけど。

 ステージ前に群がっていたファンたちが大移動。

 アイドル様の背後から「なにこの子」と言わんばかりの不機嫌顔で、私のことを睨んでくるんです。



 でもさすがだな、エンラダファンの皆様は。

 推しのことをちゃんと気遣っている。