「我流、あれお願い」



 ヘッドマイクを通した唯都様の声に



 「まさか……いたのかよ?」



 体をひねらせながら驚き声を返したのは、ワイルドな我流くん。



 ステージ裏に駆け込んだ我流くんを、唯都様は満足げに見つめると

 背後にある大型スクリーンの右端めがけて、助走からの大ジャンプ。



 オオー!と驚かずにはいられない。



 人間って、壁走りなんてできる生き物なの?

 唯都様の先祖って、まさかの忍者?



 大型スクリーンの対角線を通るように、唯都様は斜め上に向かって駆け。

 画面の左上まで到達したと思ったら、画面に両手をついて回転ジャンプ。

 ステージ横のやぐら舞台に、見事に着地を決めたんだ。



 人間業とは思えないほどの、アクロバティックな演出。

 さすがエンラダ!

 さすが唯都様!