☆琉乃side☆



 真っ赤に光るペンライトが二本、私の顔の前ではしゃいでいる。


 エンラダのコンサートは終わってしまった。

 それなのに私は夢の世界に浸ったまま。


 現実になんか戻りたくない。

 ステージを優雅に舞う唯都様の一挙手一投足を、0.1秒たりとも忘れたくなくて。


 会場の出口に向かう女子たちが私の前を通り過ぎても、座席にお尻を密着。

 「うぅ……カッコいい……苦しい……」と、上体を丸めずにはいられない。



 本当に最高のコンサートだったんです。

 剣を振り回しながら歌う唯都様は、孤高の騎士そのもの。


 見ごたえのあるアクションを最前列のど真ん中という特等席で堪能させてもらえた私の徳は、使いきってしまったんじゃないかな?

 近いうちに天罰が下ってしまいそうで、なんか怖くて。