「唯都オマエさ」


 「なに?」


 「ヒトリの心を救おうとしてんの? それとも天国のアマネに許されたいわけ? どっち?」



 悲しみが見え隠れしている尖った八重歯。

 俺を責める口調なのに、彼の瞳は天禰(あまね)が亡くなったあの日と同じように揺らいでいる。


 泣きたい気持ちを頑固なプライドで押し込めているような……

 折れそうな心に、見えない包帯を巻きつけているような……




 「どっちもなんだ、俺は……」

 
 我流は後悔を込めた拳で太ももを殴ると、辛そうな顔で額に両手を当てた。



 この猛獣も、俺と同じ罪悪感にさいなまれているにちがいない。

 いたたまれなくなって、俺はようやく心の武装を解く。


 天井を仰いでみた。

 シミが我流の罪悪感でできた刺青(いれずみ)に見えてしまう。

 痛みの輪郭だけでもぼやけさせてあげたい。

 俺は切な声に温かみを溶かし込む。