自己嫌悪に陥った私の真横から伸びてきた、ハンドモデルのような長い指。


 「琉乃ちゃんの顔、じっくりみせて」


 両頬がぬくもりに包まれて


 「下唇にほくろ見ーつけ」


 甘くてヤンチャな声が降ってきて
 

 「そこも天禰(あまね)と一緒なんだね、なんか愛おしいな」


 斜め上から見つめる優しいオスの瞳に、笑顔が作れず泣きそうな顔の私が映っているから、目をそらしたくなる。



 唯都様が本当に見つめたい相手は、私ではありませんよね?

 本当はその麗しい瞳に、あまねさんを映したいんですよね?



 もちろんそんなことは言えない。

 大好きな人と二度と会えない残酷な現実を、突きつけてしまいそうで。

 唯都様を傷つけたくなくて、自分もこれ以上傷つきたくなくて、私は本心をのどの奥に流し込んだ。