「もしかしてその人……オメガ……だったりしますか?」



 無気力な唇から漏れる不安。

 頷いてほしくない。

 イエスはやめて欲しい。

 真実を知る覚悟がないのなら聞くべきではなかったのに……



 「本人はアルファだっていっつも言いはっていたんだよ。俺たち幼なじみメンバーの中で自分だけアルファじゃないっていうのが、許せなかったみたい。でもオメガフェロモンって自分の努力で変えられるものじゃないでしょ?」



 優しい瞳とともに求められた同意。

 殴られたような衝撃が脳を貫く。




 オメガ……か。




 嫉妬に似た悲鳴が胃液を押し上げてくるから、口の中が苦い。

 三角すわりの膝に巻きつけた腕に力をこめ、心拍を平常に戻したくて深呼吸を繰り返す。



 唯都様に出会ったライブの時からずっと、ある疑問が脳にこびりついていた。