穏やかな声の後に流れだした沈黙。
天井の角に視線を飛ばす唯都様は、口を開こうとはしない。
やっぱり、触れちゃいけないデリケートな話題だったんだ。
罪悪感まみれの不安で胃がうずく。
胃薬を常備しておけばよかったみたい。
「やっぱりこの話は……」と、私が唯都様を見上げたのは3分ぐらい静けさが続いた後で
「あっごめん。君に隠したいわけじゃないんだ、グループ名の由来。ちょっと怖くなっちゃって。情けない自分を晒す時って、嫌われる覚悟が必要でしょ? 自分のメンタルが豆腐で嫌になるよ。アハハ」
唯都様は痛々しい笑い声をあげると、また表情を陰らせうつむいてしまった。
「あの、大丈夫ですか?」
肩に置こうと手を伸ばす。
でも唯都様がガバッと顔を上げたから、私の手は空中でピタリ。
おでこに手を当て溜息を吐いた唯都様は、まるで自分にカツを入れるかのよう。
透明感のある頬を両手でバンバン叩きだした。