私たちが座れる空間は、1畳もない横長スペースのみ。

 二人並んで床に腰を下ろしてみた。

 肩がぶつかりそうなほどの至近距離。

 お互い顔を横に向けただけで、唇同士が重なり合う可能性があるようなないような……


 壁と自分の隙間をゼロにすべく、10センチだけ壁に詰める。

 三角すわりの膝に腕を絡めて、視線を唯都様とは反対に逃がした。



 「エンジェルラダーと名付けた理由を知りたいんだったね」



 床にあぐらをかいて座る唯都様に視線を送ることなく、私はコクリ。



 「……見たんです、今日」


 「天使のはしごを?」


 「雲の隙間から海に向かって、何本もの光の筒が光っていて」


 「綺麗だったでしょ?」


 「ずっと見ていたいくらい神秘的でした」


 「俺も久しぶりに拝みたかったな」


 「光り輝く上空を見つめていたら、なぜエンジェルラダーってグループ名をつけたのかなって」


 「俺の顔が浮かんだ?」


 「はい」


 「フフフ素直だね、嬉しいよ」