ゼロ距離、ダイレクトに伝わる推しの体温……無理!



「それに琉乃ちゃんのフェロモンが染みついたお部屋にいられるなんて、俺の寿命が100年くらい伸びそうな気がする」



 何歳まで生きるつもりなんですか?

 規格外パワフルおじいちゃんになっても、アイドルを続けてくださいね。

 ……って、何を考えているんだ私。



 思考が迷宮に迷い込んでいたけれど、ハッとなり現実を見つめる。



 まるで私を安心させるかのよう。

 「琉乃ちゃんの寿命が延びないなら、俺が長生きする必要はないね」

 白い歯を見せながら、ニカっと笑ってくれて。



 でもさっきから、うっすらと違和感がまとわりついてくる。

 唯都様の瞳が、悲しく揺らいでいるように思えてしょうがない。

 勘違いと断定できる要素は、今のところ何一つない。