私よりも明らかに焦っているのは、私の両親で。

 なにがなんでも、私の部屋に唯都様を行かせたくないみたい。


 「るっ琉乃、リビングにゆっ唯都君をお通ししたらっどうだ?」


 「そそそそっそうね、るのちゃんが今朝焼いてくれたクッキーでも食べながら、リリっ、、、リビングでおしゃべりするのがママも良いと思うわ。うん、、、それが一番いい」


 言葉を噛みまくるは、冷や汗を袖で拭いまくるは。




 でも唯都様の欲望はブレない。


「俺がくつろぎたいのは、琉乃ちゃんが寝起きしているプライベートルームですので」


 両親の顔の前に手のひらを出し、リビング提案を棄却。



 結局私のお部屋に、唯都様をお招きすることになったのですが……



 「こちらです、どうぞ」


 ドアを開けた私が自分の部屋の中を指示しても、唯都様の足は硬直したまま。


 「はぁ、やっぱりそうか……」と、唇をかみしめながら額の血管をピクつかせている。