この後、唯都様がとんでもないことを言い出したんです。

 「琉乃ちゃんのお部屋が見てみたいな」って。



 「ねっ、いいでしょ?」と私の手を両手で包み込んだ唯都様は、まるでオモチャをねだる5歳児のよう。

星を飼っていそうなほど瞳をキラキラさせながら、再びニコリ。



 真正面から、純粋無垢な天使オーラを浴びせられてしまったせい。

 
 いいですよの意味を込め、首を縦に振ろうとしかけるも……


 はっ、推しが私の部屋に? 

 あんな狭い空間で二人きり?

 心臓が止まっちゃうかも。


 浮かんだのは、救急車で運ばれる瀕死の自分。

 口元に力をこめ、頷きそうな顔にブレーキをかけた。