「お待たせ、もういいよ」


 優しく私の耳から手を外してくれてありがとうございますだけど、目の前のタキシード王子を瞳に映している場合ではない。

 力なく床にしゃがみこんでしまった両親が、気になって仕方がない。


 
「あの唯都様……私の両親といったいどんな話を……」


「う~ん、カッコよく言えば脅迫かな?」


「えっ?! きょきょきょ、、、脅迫?!」


「総長から聞いた話をちょっとだけチラつかせるつもりだったけれど、なんで怒りのリミッターって外れやすいのかな? 娘をいじめていた悪者を目の前にしたら、責め立てずにはいられなくて。あっでも安心して、ずっと王子スマイルはキープしてたつもりだから」



 いやいや……

 王子スマイルをキープできていたら、私の両親は怯え顔で震えたりしないと思いますけど……



「俺って笑顔で相手を追い詰めちゃうクセがあるみたいなんだ。エンラダメンバーにも、地球を滅ぼしに来た魔王に見えるからやめろってよく注意される。無意識だから直しようがないよね、アハハ~」


それはそれは、メンバーの皆さま仲がよろしいようで……