「あ!ねえ、これ竜次のアルバムじゃない?見ようよ!」

「そうやって違うことしたら時間遅くなるよー…」

竜次のごもっともな返しは無視して、アルバムを開き始めた。

竜次も隣に座って一緒に見始めた。

そこには、誕生したばかりの竜次とパパとママが写った写真、おじいちゃんおばあちゃんが写った写真、日が経つごとにできることが増えていく成長した竜次が写った沢山の写真。
そして、それぞれにママがコメントを書いている。

気づいたら、涙が出ていた。
竜次も鼻をすすっている。

私の家庭環境は、決して良くはないし、悪くもない。ひとり親で、その親は再婚も何度かしてて、相手とその度に揉めて、苦しんだことがあった。そのこともあって、私の生まれた時の家族写真はあまりない。再婚相手が捨ててしまったから。

でも、写真はなくても、しみじみとした。
こうやって私の親も私を愛してくれていたんだよなぁ。生まれた時は大喜びしてくれたんだよなぁ。

そして、大好きな竜次も、こんなに愛されて生まれてきた。虹谷家の暖かさに、涙が止まらなかった。