「ッ……ッッ」

「はっ……。ッ」



真っ暗に電気を落とされたリビング。

さっきまで着いていたキッチンの電気すら消されて,大して視力もよくない私はお互いの姿すらぼやける。

最後の涙が溢れたあとは,互いの吐息しか聞こえなかった。

日を跨いで直ぐだと言うのに,1度も身体を休ませず,別の男と2回目の行為に及んでいる。

彼の方は,私と複数回するつもりはないようだった。

ただ,慰めるように。

大切に扱うように。

丁寧に1回を行う。

優しさに優劣をつけるのは難しいことだと思うけど。

きっとこの世で1番優しいのは,この人だと思った。

だから私にも,次第に申し訳なさが湧いたけど。

私はしがみつくその背中から,手を離しはしなかった。