賢人と一緒に洋服屋さんで買い物を済ませた帰り道。

(可愛いパーカー、いっぱい買っちゃった…)

賢人と別れた私はひとりで家に向かって歩いています。

そんな私でしたが、さっきから誰かにつけられてるみたい…

ちょっと早歩きで急いで家に向かうことにします。

すると…

「きゃあっ⁉︎」

後ろから誰かにパーカーのフードを掴まれました。

振り向くと知らないオジサンが私のパーカーのフードを掴んでいました。

「いやっ!離してっ!」

私はオジサンの手を振り解こうとします。

しかし、オジサンはニヤニヤと笑ってフードをギュッと掴んだまま。

「誰か!助けてっ!」

私は声を挙げましたが、周りには誰もいません。

オジサンにフードを引っ張られながら私はすぐ近くの公園へ連れて行かれました。

「もう、やめてください…」

オジサンに公園のトイレの裏に私は連れて行かれてしまいます。

オジサンは私のお気に入りのパーカーのフードをギュッと引っ張りあげました。

「あっ、いや…苦しい…」

フードを勢いよく引っ張られて首が絞めつけられます。

「やめて…離してぇ…」

私は苦しまぎれにオジサンの手をフードから振り解こうとしましたが、強くフードを掴まれていて解けません。

オジサンはさらにフードを引っ張り上げました。

「苦しい…もう…ダメ…」

私はフードを強く引っ張られて、さらに首を絞められてしまいました。

(誰か…助けて…)

その時でした。

「やめろっ!」

誰かの声がします。

フードを引っ張られて首を絞められていた私は、苦しまぎれにその誰かに助けを求めました。

かけよって来たのは賢人でした。

オジサンは私のパーカーのフードから手を離して逃げていきました。

「はぁ…はぁ…」

私は苦しさから解放されてその場にへたり込みます。

「大丈夫かっ⁉︎、彩!」

「賢人…」

なんでここがわかったのか、私には不思議でした。

「よかった、彩が無事で…」

いつものお調子者な賢人とはまるで違いました。

私を助けに来てくれた賢人は、まるでヒーローみたい。

(賢人…ありがとう…)

ほっと胸を撫で下ろします。

私は賢人のことをさらに好きになってしまいました。