「ねぇ!何回やらせるの」


さすがに疲れてきた私は、腕を組んで私のポンコツシュートを眺めていた幡多くんに抗議した。


「マジで下手くそだったから驚いてる」

「だっ、だから言ってるじゃん!」


その場で地団駄を踏んだ私に、幡多くんはふっと笑った。


「でもまぁ。改善の余地はあると思うけど」

「えっ、ほんとに?どこどこ?どうしたらいい?」

幡多くんの言葉に目を輝かせて迫る私を見て、鬱陶しそうに距離をとった幡多くんは続けた。


「明日でいい?」

「えっ、もう終わり?」

「うん。終わり。疲れたし眠いからもう行く」

「疲れたって、幡多くんほぼ見てただけじゃん」

「は?見てるのも疲れんだよ。じゃーね。ごゆっくり」

「…もう!」



背中を向けてヒラヒラと手を振った幡多くんは自転車に乗って公園をあとにした。



ちゃんと来てはくれたけれど。
教えてくれる気があるのかないのか。
よく分からない。



結局、そのあと私は15分くらいひとりで練習をしてから学校へと向かった。