校舎へと続く渡り廊下。
そこで幡多くんの背中を見つけた。
「幡多くん!!」
幡多くんは振り返ると、
走ったせいで息切れする私にゆっくりと歩み寄った。
「ふっ。すごい顔」
試合後だし、汗だくだし、走ったし。
それはもう、すごい顔だと思う。
自分でも分かってる。
「幡多くんがっ…、幡多くんのせいだよ」
「俺?」
「スリー決めたの。早く報告したいって思ったら…幡多くん、体育館にいるんだもん」
「いたね、俺。なんでかな。偶然?」
面白がるようにとぼける幡多くんに、「なにそれ。偶然な訳ないじゃん」と睨んだけれど、アハハと笑われた。
「でもまぁ。見てたよ、ちゃんと」
「うん…ありがと」
少し呼吸が落ち着いた私に、幡多くんは右の手のひらを私の顔の高さまで上げた。
「やるじゃん」
幡多くんが笑ってくれる。それだけでこんなに嬉しい。
「…うん!」
私は、その幡多くんの手のひらに、自分の右手を思い切りぶつけてハイタッチをした。
この胸の高揚は、スリーを決めたからだけじゃない。
この気持ちの正体は、さすがにもう分かってる。
それから体育館に戻ると、川崎にお腹大丈夫?と心配されたのは言うまでもない。