時間の流れとは不思議なもので。
終わりを意識し始めると、今までゆっくりだったはずなのに、急に形を変える。
1週間はあっという間に過ぎ、私と幡多くんは試合前の最後の朝練をしていた。
「ね、すごくない?私」
1本、2本と連続で決まっていく私のスリーポイントシュートに幡多くんがパチパチと拍手をした。
「すごいすごい」
「ちょっとー、本当に思ってる?」
幡多くんのテキトーな相槌に口を尖らせた。
「思ってるって。体が勝手に拍手すんだよ」
いつか私が幡多くんに言ったことをそのまま返されて、2人で笑った。
「あとは明日の本番で決めれれば完璧じゃん」
「ほんとそれ!それが大事なんだよね」
幡多くんのおかげで、自分のシュートに自信が持てるようになった。
試合でスリーポイント決めたい気持ちはもちろんあるんだけど、この朝の時間が終わってしまう寂しさも、すこしある。