次の日は、久々に雨が降り、朝のコソ練はお休み。

公園に寄るのが日課になっていたから、変な感じ。

登校中にちらっと公園を確認して、幡多くんの姿は無かった。

当たり前だけど。






少しだけ早く学校に着いてクラスメイトと話していると、男バスの先輩2人が教室に入ってきて教室内の視線が注がれる。


先輩たちは、まっすぐ幡多くんの机に向かい、

「キミ?幡多紘平って」

と、寝ていた幡多くんの肩を揺らした。



このクラスにバスケ部は私しかいなくて、
先輩たちがバスケ部だと分かるのは多分、私だけだ。


…どうしたんだろう。

男バスが、なんで幡多くんに?

私は遠くからその会話に聞き耳を立てた。




「…そうですけど」

「やっぱり。名字違うから気付かなかった。緑ヶ丘ジュニアで2番つけてたよな?」

先輩の言葉に、幡多くんは少し動揺したように見えた。


緑ヶ丘ジュニアって、この辺りの地区では敵なしといわれるバスケのクラブチーム。

そんなチームに幡多くんが…?



「なんでバスケ部入んないの?帰宅部やってんなら、男バス入ってくんない?」




先輩の発した“バスケ”という単語に、クラスメイトがざわつき始めた。

「え?幡多くんがバスケ?イメージないんだけど」

「てか、名字ちがうってどういうことだろ」

次々に向けられる、幡多くんへのクラスメイトの好奇の言葉。

勝手に私の心がハラハラする。


「おい、聞いてんの?」


痺れを切らした先輩がもう一度幡多くんの肩に触れたとき、勢いよく立ち上がった幡多くん…と、先輩との間に割って入ったのは私だった。