「あーっ、もう!ダメだぁ」


ガンッと音を立ててリングから弾かれたバスケットボールは、何度かバウンドを繰り返した後コロコロと地面を転がった。



学校までの道のり、およそ自転車で40分。

その途中にある公園に、古びたバスケットゴールを見つけたのは最近のこと。


高校に入学して1年以上が経つけれど、全然気が付かなかった。



夕方は近所の中学生が使っていることが多いから、朝早めに家を出て1人で練習し始めたけれど、上達する気配はまだない。



「はぁ。試合どうしよ…」



公園のベンチにバスケットボールを抱えて座り空を仰ぐ。




万年補欠の私がまさか試合に出ることになるなんて。