カーブに差しかかった所で、バスが大きく揺れた。


彼女のバランスが崩れ、僕の方へよろめいた。

彼女の髪が、僕の頬へ触れた。
甘いにおい。
シャンプー?
香水?

女の子って、こんなに甘いにおいなの?
それとも、彼女だけが特別?




「あ!すみません・・・・・・」

甘いアルトが僕に向けられた。

「いえ・・・・・・、大丈夫です。」


突然のことで、僕は上手く声が出せなかった。


もっと、気の利いたこと言えよ。