〇水族館・ペンギンプール

シュウジ、飼育員姿。
アイカ、下から見上げている。

アイカ「あ!」

シュウジ、魚をペンギンにあげている。

シュウジ「おう」

ワコ「シュウジ!何やってんの~」

シュウジ「バイト」

シュウジ、レイをちらりと見る。
レイ、罰が悪そうな顔をする。

ワコ「バイトいいな~うち禁止だから」

シュウジ「働かなくていいならそっちのがいいだろ」

ペンギンたち、シュウジにメロメロ。

アイカ「かわいい」

先輩飼育員「シュウジく~ん!ちょっと手伝って!」

シュウジ「はーい!……俺、行くから」

ペンギンたちがっかり。

ワコ「ばいばーい」

ワコ、アイカ、シュウジに手を振る。

〇水族館内

ワコ、アイカ、レイ、並んで歩いている。

ワコ「こんなところで会うなんてね」

レイ「本当に偶然」

アイカ「ワコの同級生だったの?」

ワコ「そう!最近、よく会うけど」

ワコ、1人で駆け出す。
ワコの先には売店がある。水族館にちなんだぬいぐるみ、キーホルダーが並んでいる。

ワコ「かわいい~」

アイカも隣に並ぶ。

アイカ「かわいい」

アイカの輝いた視線の先にはペンギンのキーホルダー。

レイ、アイカの視線の先を微笑ましく見ている。

濱田先生「おい、お前ら遊びに来てるんじゃないぞ」

3人の後ろに濱田先生が立っている。

ワコ「はーい」

ワコ、パタパタしながら離れる。
アイカ、名残惜しそうな視線。

〇水族館・敷地内外

生徒が等間隔で並んでいる。
生徒の前で濱田先生が挨拶。

濱田先生「まっすぐ帰るように。解散!」

生徒たち、がやがやと帰りだす。

ワコ「つかれた~」

アイカ「あんなに楽しんでたのに」

ワコ「たのしかったね!」

アイカ「忙しい人」

シュウジ「ワコ!」

水族館を出てすぐのところ、フェンス越しにシュウジが立っている。

ワコ「おーおー、シュウジじゃないか」

シュウジ「ほい」

シュウジ、フェンスの隙間からキーホルダーを投げる。

ワコ「おっとっと」

ワコ、キャッチして見るとクジラのキーホルダー。

ワコ「なにこれ趣味悪い~」

シュウジ「うるせ。ほら、あんたも」

シュウジ、アイカにもフェンスの隙間からキーホルダーを投げる。

アイカ「え、ちょっと」

アイカ、キャッチして見るとペンギンのキーホルダー。

アイカの顔が輝く。

アイカ「これって」

シュウジ「あんた、ペンギン好きだろ」

アイカ「どうして」

シュウジ「見てたらわかる」

アイカ、満面の笑み。

アイカ「ありがとう」

シュウジ、少しきゅんとした表情。すぐ表情もどる。

シュウジ「戻るから」

シュウジ、水族館に戻る。

〇江洲高校・正門(朝)

登校している男女。

アイカ、1人で登校している。

レイ、遠くにいるアイカをみつけて近づいてくる。

レイ「アイカちゃん!おはよ!」

アイカ「おはよう!」

レイ「昨日、楽しかったね。それでさ……」

レイ、何かに気づく。

アイカ「?」

アイカ、きょとんとした表情。

レイ「いや、何でもない。それかわいいね」

レイ、指さした先にはペンギンのキーホルダー。

アイカ「ね。すっごくかわいい」

アイカ、満面の笑み。

レイ「今日も長くなりそうだねぇ」

アイカ「そう?いつもより早く下校だよ?」

レイ、後ろ姿。
レイの手には未開封のペンギンのキーホルダーが握られている。